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世の中、ネット時代

2014年03月28日

世の中、ネット

アンジー母娘の、一触即発的な会話に、キャンディは舞い上がる。
「スカーレット、かっこいい~! 赤ちゃん、女の子?名前は?」
そんなキャンディに、スカーレットは破顔する。
「相変わらず、好奇心の固まりね、キャンディは」
スカーレットは赤ちゃんをキャンディに渡すと、キャンディはうれしそうに受け取ってだっこする。
「名前は、‘いろは’」
「いろは?」
「日本の言葉、‘色は匂えど、散るぬるを・・・’から付けたの」
「色が、匂う?」
「日本人は、そう表現したんだ。それに色気には匂いが必要だ、と監督からも言われた」
「はぁ?監督?」
キャンディの疑問に、スカーレットは、周りを見回して溜息をつく。
「・・・思ってた以上に洗練された店たけど・・・」
店内は相変わらず、お客さんでいっぱいだったが、どこか牧歌的で、スカーレットは肩をすくめる。
「・・・この国には、TVやネットはないの?」

閉店後、アンジーの家に皆がそろった。女ばかり7人。アンジー、ドロシー、ローラ、ソフィ、キャンディ、スカーレット、いろは。
「女系一族だね、まったく」
アンジーは、すでにほろ酔いでご機嫌だ。
「すごいおばあちゃんだね~」
キャンディはいろはをだっこしながら、アンジーを指さしていろはに耳打ちする。

スカーレットの話はこうだった。彼女は日本文化を勉強して特に花魁文化を極め、大学で講義をするほどになったらしい。が、彼女の美貌が話題となり、ある日、大手芸能事務所からスカウトされ、今や女優業もやっているという。先日世界的にヒットした日本映画にも、出ていたが、三姉妹を始め、誰も知らなかった。

「・・・ったく、それじゃ、これからの時代に乗り遅れるわよ。たまたま私がタニアのライブを見てたからよかったものの・・・」
ローラが驚く。
「え? タニアのライブを見てくれたの?」
スカーレットは、得意気にうなずく。
「世の中、ネット時代だからね。私はTVの中継で見たけど、その後、何回かネットでも見た。あんたたち、タニアに紹介されててびっくり!」
「スカーレットが日本で、私たちを見てたなんて・・・」
ソフィはうれしそうに微笑む。
「ローラも、ソフィも、その無欲な職人肌は、ある意味、いまでは貴重な存在だよ」
スカーレットの毒舌に、二人は苦笑する。
「・・・でも、タニアのステージは最高だったよ」
毒舌の合間に称賛を入れる語り口は、アンジーゆずりで、三姉妹は、くすくす笑う。


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Posted by 弘せりえ at 13:11│Comments(0)短編
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