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スカーレットの新ビジネス

2014年03月29日

テーブル

遅い夕食が終わり、夜遅くなって、スカーレットは三姉妹に言った。
「もう一度、あの店見たいんだけど、明日じゃ、またお客さんでいっぱいだよね?」
ローラは残念そうにうなずく。
「そうね、月に一度の定休日は、二週間後だし」
「二週間もこんなとこでのんびりしれらんないよ」
ソフィは冗談っぽく提案する。
「今から、見に行く?」
いろはをアンジーに取られたキャンディは、大賛成する。
「行こうよ、スカーレット! 今日飾った花もまだ枯れてないよ!」

4人は、母たちといろはを残して、スカーレットのカーテン店に戻った。夜中の11時半。しんとした店の電気をつけるとカーテンの楽園が広がっていた。さすがのスカーレットもしばらく見入っている。
「ソフィ、これ、あんたがデザインしたドレス?」
ショーウィンドウに飾られたカーテンドレスの数々を見ながら、スカーレットがたずねる。
「ええ、ドレスもカバンも靴も、全部私のデザインで、ローラが生地を見繕ってくれて、キャンディが季節の花を飾ってくれるの」
ディスプレイの帽子やカバンに付けられた花を見て、スカーレットは思わず微笑む。
「キャンディ、いろはにも、なんかかわいいお花、あげてちょうだい」
キャンディはうなずく。
「ええ、とってもいい香りがする花にするわ。いろはには、香りが必要だもんね」
さっきの話をしっかり覚えていたキャンディに、スカーレットは感心する。そして、ローラの方を振り返った。
「この店のブレインは、きっとローラだよね」
ソフィもキャンディもうなずく。4人は、店の真ん中にある、お客さんの相談用テーブルについた。
「実は、私、今の彼氏と、ネットビジネスを始めたんだ」
スカーレットの言葉に、三姉妹はまたもや驚く。
「大学講師で、女優で、まだビジネスもするの?」
ソフィの問いに、スカーレットはうなずく。
「大学講師は、ばあさんになるまで続けるよ。でも女優業はそういうわけにもいかない。そしたら、退屈じゃん。で、今、女優として名が売れているうちに、そのネームバリューでビジネスを立ち上げた」
ローラは興味津々でたずねる。
「なんのビジネス?」
「スカーレット・プロデュースのブランド」
「へぇ、デザインもするんだ。何がメイン?」



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Posted by 弘せりえ at 17:17│Comments(0)短編
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